第9位
東京外国語大学元学長
文学賞のたった一人の選考委員に
♡11月6日女子大生ニュース
10月13日、第26回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式が行われました。
この賞の選考委員を務めたのは、元東京外国語大学学長の
亀山郁夫先生です。亀山先生は、2007年から2013年まで
東京外国語大学の学長を務め、ロシア語、特にロシア文化、
ロシア文学を専門としています。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞とは、1933年に創設された
パリの「ドゥマゴ文学賞」の先進性と独創性を受け継ぎ、
既成の概念にとらわれることなく、常に新しい才能を認め、
発掘に貢献したいと1990年に創設された文学賞。
前年7月1日から当年7月31日までの13ヶ月間に
出版された単行本または雑誌等に発表された日本語の
小説、評論、戯曲、詩が対象です。
受賞作は、毎年「ひとりの選考委員」によって選ばれ、
選考委員の任期は1年間です。
今回亀山先生が選出したのは、中村文則さんの『私の消滅』。
呪わしい記憶に苦しむ恋人の診療に当たった若い
心療内科医の復讐を描きます。亀山先生はこの作品について選評で、
「中村文則のファン、と公言できるほど私自身
若くもなく、最近の彼の作品にはいくつか頷けない点もある」としながらも、
「とくに抜きん出ていると感じたのは、みずからが描こうとする
対象への憑依力である」と、作品のリアリズムを絶賛しました。
取材・執筆:東京外国語大学 黒田和佳奈